吉本興業に関する一連の流れ、報道等を見ながら、20年近く前に営業をやっていたころのことを思い出していました。

営業時代にあったクレーム対応と会社の姿勢

かれこれ20年くらい前、住宅用の建材を取り扱う営業の仕事をしていました。

材料の性質上、大なり小なりクレームが発生するものでしたが(自社の責任かどうかは別として)、あるとき担当エリアで大きなクレームが発生しました。

詳細は控えますが
・それは明らかに自社に責任があるクレーム
・会社としてそのクレームに対する対応策を決めている
・営業担当は、お客様にその対応で納得していただけるよう話をする必要がある
という状況でした。

で、私が担当した案件では、お客様が会社側の用意した対応策では納得されず、プラスアルファでの対応を要望されたのでした。

営業担当者としては
・会社はここまでしか対応しない方針と決めている
・お客様はその対応では納得せずもう一歩踏み込んだ内容を要求している
ということで、完全な板挟み状態でした。
(個人的な感情としては、会社の方針に無理があり、お客様に完全同意)

その後も
・何度もお客様を訪問し
・何時間もお話しし
・上司を何人も連れて行き
それでも打開できない状況のなか、ふと耳にしたのが

営業担当の交渉の仕方が良くないのでは?という見方も出ている。

ということでした。

ウブだった私は、「おいおい!」と思いつつ、1%くらいは「もしかしてそうなの?」なんてことも感じたりして、ちょっと寂しい気持ちにもなっていました。

で、結局、本社から品質担当のお偉いさんが登場することになり、お客様を訪問した第一声が

お客様のご希望通りに対応します!

でした。

えーっ・・・。これギャグなの???
その結論が出せるなら、もう何ヶ月も前に決着してるんですけど・・・
と、固まりました。

お客様にとっては希望通りだったので、その点はよかったものの

・こっちの今までかけた時間はなんだったの?
・こっちの立場は??
・本社から良い顔をするためだけにわざわざ九州まで来たの??
・それなら自分で言えたけど??

と謎だらけだったことを20年経ってもいまだに覚えています(しつこい??)。

本質的な問題がどこにあるか?

このときに救われたのが、そのときに直の上司から言われた

・お前のやり方、いままでの進め方は間違えていない
・そもそも今回のクレームは、本社側の対応策に問題がある
・本質的な問題(稚拙なクレーム対応策)を省みず、「担当者のやり方が悪い」というような結論にもっていこうとする本社側の考え方がおかしい

これらのような言葉でした。

常に相談しながら進めていたこともあり、また、近くで見ていただいていたこともあり、分かってもらえる人がいるならそれでいいか、と思った記憶があります。

クレーム自体は完全になくすことはできませんが、会社としてのクレーム対応には問題がありました(と思っています)。

このクレーム対応に関する本質的な問題は、

・クレームに対する会社側対応策がお客様の希望と乖離していること
・乖離していることについて、お客様を説得できるような材料が会社にはないこと
でした。

この本質的な問題に向き合わず、表面的な問題(営業マンの対応が悪かったんじゃないの?)で済ませようとしていたのかもしれません。

そのような感覚がなくならない限り、会社として、事業として絶対にうまくいかないだろうなと強く感じていました(その後、実際に・・・)。

吉本興業の報道も見方を変えるとこれに近いかも?

吉本興業のタレントに関する一連の報道を見ていて、なんとなく前述したクレーム対応の流れと似ていると感じています。

気持ち的には弱い立場(?)の芸人さん側に味方したい気がしますが冷静に考えてみると・・・、ということで。

*問題の発生:
・クレーム=>品質が悪い製品の販売したことによるクレームの発生
・吉本興業=>タレントによる闇営業、反社会的勢力からのお金の受領

*対応方法に関する本質的な問題:
・クレーム=>会社側の考える対応策の甘さ、無責任さ、説得力のなさ
・吉本興業=>タレントによるウソとそれを受けての会社側の初動の不味さ

*安易な問題提起、揚げ足取り:
・クレーム=>営業担当の対応が悪いのでは?
・吉本興業=>社長の記者会見の内容がひどい!

分かりやすいところ、言いやすいところということで、「吉本興業が悪い!」というような流れができていますが、そもそもの問題は

ウソをついて対応の方向性を誤らせたこと

のはずです。

結果的に、会社側の対応も不味かったとはいえ、それは本質的な問題から派生したものであり、そもそもの問題を帳消しにするほどのものではないでしょう。

しっかりと「本質的な問題」に目を向けるべき

・加害者 VS 被害者
・A とBどちらが正しいか?
など、単純化して、しかも感情も入れながら物事を見てしまいがちですが、「本質的な問題」がどこなのかはしっかりと見ておく必要があると思います。

会社組織であればなおさらかと。

前述のクレーム対応方法であれば、
・目先の費用などの問題ではなく会社としてどうすべきか?
・会社の対応策で納得されないお客様への対応はどうするか?
をきちんと詰めていなかったことが問題だったわけです。

また、たとえば、社内でなんとなく一体感がないと感じる場合であれば、
・いまどきの社員は・・・
と考えるのではなく、

・一体感が持てるように、社員と情報共有ができているか?
・なぜ参加意識が持てないのだろうか?
など、そもそものところで考えてみる必要があるでしょう。

また、いつもミスしてしまう社員がいるときに
・この人は・・・
で済ませて諦めてしまうのではなく、

・業務を理解できていないのか?
・チェックの仕方が悪いのか?
・間違いが起こってしまうような仕事の流れが悪いのか?
など、なぜ間違いが起こるのか?の本質的な問題を探る必要があるはずです。

なにか問題が起きたときや対応すべきことが発生したときには、

・本質的な問題はなにか?
・そもそもどこの問題なのか?

を常に考えておく必要があるのではないかと、吉本興業をめぐる報道等を見ながら、改めて感じています。


【編集後記】

週末、痛風による足の痛みがありながらもゴルフに行ってきましたが、やはりボロボロでした。
ボロボロだったのが痛みのせいだけだったのか、実力通りなのか、微妙なところではありますが!?
 
【昨日の1日1新】
「1日1新」とは→詳細はこちら

信玄つつみ(夜)